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心拍変動解析ソフト(TEC21-HR)の販売を開始いたしました。

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生体システム (心臓の鼓動の例)

心拍リズム(心拍変動)の時系列

心臓の鼓動(心拍)を外部に知らせる合図は、心臓の心房、そして心室の心筋の伸縮に伴い体の表面に現れるミリボルトオーダーのQ、R、S波と呼ばれている3つ の電圧波形が合成されたシャープなQRS波(心電波形)です。QRS波の中でも、心室の筋肉収縮時に現れるR波が一番鋭いピーク波形を持っています。従って、そのR波を心拍の合図とします。その合図(R波)と次の合図(R波)の時間間隔(R-R間隔時間)を測定し、その値を測定順序に並べて時系列にします。

心拍の 合図を、脈拍として、脈拍と次の脈拍の時間間隔を連続計測して心拍変動の時系列とすることもできます。健康人の場合、この脈拍間隔とR-R間隔時間から作成した時系列は、ほぼ等しくなります。

心拍は一定でなくリズムがあるので、その時系列にもリズムがあり変動します。それで、その時系列のことを、心拍変動の時系列と呼んでいます。

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複雑な心拍変動

心拍変動は、生体の活動にともなう自律神経と固有な生理学的制御機能の活動とを反映していると考えられています。

例えば、その自律神経の活動において、交感神経活動の増加は、心拍数を増そうとし、逆に副交感神経活動の増加は、心拍数を減らそうとします。この様な、交感と副交感神経の競合は、生体が起こす不規則な活動にたいする自律した機能調節の役割を果たしているのみならず、固有な生理学的制御機能にも深く関与しています。

従って、その時系列を解析することにより、自律神経活動や生理学的な制御機能の診断をすることができると考えられるので、時系列に異常が見つかれば、その異常は自律神経活動や生体制御機能の異常とみなすこともできそうです。

しかし、生活活動に対する複数の制御機能の働きが、時系列に、色々な周波数成分を持った複雑な変動や非定常なトレンドを 混入するので、その変動は、非常に複雑です。

そのような複雑な心拍変動に、生理学的機能に関連した固有振動が存在しています。固有振動の中でも、比較的、周波数の高い領域には、その振動は顕著に現われます。

ここで使用する周波数とは、時系列は1拍毎に並べたデータ列なので、その時系列のデータが、1秒間ではなく、1拍間に繰り返す振動数の事です。従って、高い周波数領域とは、振動の周期を心拍数で表した場合、約100拍以下の心拍数となり(周波数だと、0.01以上)、その代表例には、次の2例があります。

  1. 周期的な呼吸活動に起因する固有振動です。この活動にも交感、副交感神経の競合活動が関与していますが、心拍変動に直接反映されるのは、副交感神経活動だけです。この副交感神経活動の強弱のリズムが約10拍毎に現れてきます。  

  2. 血圧の調節機構に関連していると考えられる固有振動です。この固有振動は、50拍から100拍程毎に繰り返されています。交感、副交感神経活動がお互いに競い合うことにより作り出されます。

他にも、生理学的機能に関連していると考えられる100拍以上の長い周期も数個ほど存在しているようです。

参考文献 

Heller, L. J and Mohrman, D. E., Cardiovascular Physiology, McGraw-Hill (1981). Task Force, Heart Rate Variability - Standard of Measurement, Physiological Interpretation, and Clinical Use, Circulation Vol. 93, No. 5, 1043-1065 (1996).

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心拍変動の時系列のパワースペクトル解析と最近の解析方法

心拍変動は、あまりにも複雑なので、先の2つの固有振動を取り除いた時系列の変動成分の統計的な性質を調べることが1980年代から行われています。その 大きなきっかけは、KobayashiさんとMushaさんとによる統計的な調査です。彼らの調査結果は、心拍変動の時系列の自己相関をスペクトル---パワースペクトル---で表現すると、健康人の場合、スペクトルの形状が1/f ---1/f 揺らぎと呼びます---となることでした。つまり、1/f 揺らぎを持つその時系列の統計的性質は単一なフラクタル指数を持つことでした。従って、その指数の変化を生理学的な制御機能の診断に結び付けようとする臨床的研究が数多く行われてきました。

しかし、パワースペクトル解析を用いて、この様な単一のフラクタル成分を持つ揺らぎのフラクタル指数を算出するには、まず、長い時系列から色々なトレンド(時系列に存在する非定常な変動成分)を取り除いて解析しなければならない不便さがありました。

それで、1990年代半ば頃、Pengさん等により、短い時系列からトレンド成分を取り除いて、変動成分だけからフラクタル指数を算出する方法が開発され、フラクタル指数の違いを心臓病等の診断や健康診断に利用しようとする臨床的研究が数多く行われています。

しかし、最近では、心拍変動の時系列は更に複雑で(非線形で)、マルチフラクタルであることが判明して、各フラクタル成分が固有の生理学的制御機能に関係している 事も明らかになり始めました。

参考文献 

Kobayashi, M.,  Musha,T., 1/f fluctuation of heartbeat period, IEEE. Trans. Biomed. Eng. BE-29, 456-457 (1982). Peng, C. K., Havlin, S., Stanley, H. E., Goldberger, A. L, Quantification of scaling exponents and crossover phenomena In nonstationary heartbeat time series, Chaos, Vol. 5 No.1 pp. 82-87 (1995). Ivanov, P. C., Amaral. L. A. N., Goldberger, A. L., Havlin, S., Rosenblum, M. G., Stanley, H. E., Struzik, Z. R. From 1/f noise to multifractal cascades in heartbeat dynamics, Chaos, Vol. 11, No. 3, pp. 641- 652 (2001). Goldberger, A. L., Amaral. L. A. N., Hausdorff, J. M., Ivanov, P. C., Peng, C. K., Stanley, H. E., Fractal dynamics in physiology: Alterations with disease and aging, PNAS, Vol. 99 Suppl. 1 pp. 2466 - 2472 (2002).

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心拍変動の時系列をTEC21の非線形解析方法で 診断すると

固有な生理学的制御機能に関連して変動している成分を診断するには、私見ですが、1980年代の半ばから後半にかけてTakedaにより開発されたリアルタイムのデータ解析の方法が、先のマルチフラクタル解析の方法より簡単で適しているように思えます。

それは、非定常な時系列に埋もれている生理学的制御機能に起因すると思われる周期変動をリアルタイムで抽出し、その生理状態の診断や異常予知診断を行う のに便利な非線形解析方法です。

心拍変動の一例として自律神経活動にジョギングによる負荷を与えてその活動を乱し、その負荷を取り除いた直後から、乱れた活動が元の状態に戻る過程を、図1に描きます。1992年に MS-DOS版でデータ収集し、作成・解析したその時系列は、ジョギング終了直後から約1時間20分程の心拍変動(R-R間隔時間の変動)です。 計測した累積心拍数は6000余りです。

図1 HR-AJ-5-5-D-A.gif (91464 バイト)   

図1の説明です。ジョギング直後の心拍間隔時間(変位D)が基準値の630msec(95拍) で、運動の負荷もほぼ無くなった約1時間20分間後の間隔時間は、907msec(66拍)です。上から

  • 自律神経活動力を表す加速度A(青)のグラフ---左縦軸スケールの−200を基準とした相対スケール表示 

  • 心拍間隔時間D(赤)のグラフ---左縦軸の赤色スケールはmsec単位で基準値は青色バーの箇所 

  • 変位D(赤)は、データ数5個ずつの移動平均、加速度A(青)は変位D(赤)の間隔5個の2次差分 

  • 黄色のグラフは、それらAとDの瞬時値(AはDの間隔が5個ずつの2次差分) 

  • 横軸は各グラフに共通な累積心拍数です。

間隔時間、変位Dが、左のスケールの基準値より増減する方向には次の意味があります。

  • 上方向は、Dが減少する方向(心拍数が増加する方向)で、交感神経活動がより活発になる方向

  • 下方向は、Dが増加する方向(心拍数が減少する方向)で、副交感神経活動がより活発にる方向

加速度Aの振幅値の基準からの増減にも、次の意味があります。

  • 増減のない場合は、交換神経と副交感神経活動の釣り合いがとれ、自律神経活動が見かけ上ゼロとなる状態 

  • 上方向の+に振れると、交換神経活動の方が副交感神経活動より活発になり心拍数を増加させようとする力が働いたことになります 。 

  • 下方向の−に振れると、副交感神経活動の方がより活発で心拍数を下げるように力が働いたことになります。

一般的には、これら2つの神経活動の競合が心拍変動つまり心拍リズムを生み出します。

時系列データ から、データ個数w個で移動平均して変位Dを得て、その変位Dから、間隔sの2次差分で加速度Aをを算出する方法は、その時系列と図1に示したDSWADWとの相関積分(加算)をする操作で置き換えることができます。この相関を取る数学的な操作は、これら方形波で構成した窓から 、その形状の窓に入ってくる時系列データの平均的な振る舞いを観察していることになります。図1ADWは、幅wの基本方形波(高さは単位長1を幅wで割った---つまり面積が1となる)DSWを組み合わて作ります。TEC21は、それら2つの方形波を、

  1. DSW  ”データを平滑するウエーブレット”

  2. ADW  ”加速度を検出するウエーブレット”

と呼んでいます。

図のADWは、上下方向に配置する方形波との間隔sが、w=s=5の場合です。図中のDSWADWは、 左側の赤の縦方向スケールで80倍(表示を見やすくするために、幅w=5で割っていません)に、横方向のスケールで60倍に拡大しています。この様な、ウエーブレットをTEC21は物理的なウエーブレットと総称しています。

図2に、図1の累積心拍数150から1650までの部分を拡大表示し、生理的な制御機能に関する固有振動の変化の 詳細を表示します。

図2 HR-AJ-5-5-PW.gif (91686 バイト)

呼吸に関連した心拍10回程毎に繰り返す固有振動が加速度A(青)にはっきり見ることができます。これは、呼吸活動に伴う自律神経活動のうち副交感神経活動の変動だけを反映し ています。この固有振動の周りでは、副交感神経活動を増す方向が心拍数を減少させ、逆に減らす方向が心拍数を増加させるように働きます。 

ジョギング終了直後、心拍数が90余りに引き上げられた状態でも、2つの神経活動は互いに競い合っています。そして、心拍数が下がるにつれ、2つの神経活動はその競合度合いを強め、そして呼吸活動に伴う副交感神経活動も活性化され始め、心拍変動が大きくなります。心拍数90余りからリラックスし始める過程に於ける2つの神経活動と副交感神経活動が、加速度A及び、パワー(PW---黒色)のグラフに表示されています。 

PWは、図中のVDW(速度検出ウエーブレット)で検出した速度Vと加速度Aの積で定義しています。なおVDWの反転波形は、Haarのウエーブレットとしてよく知られているものです。

なお、このVDWに関してですが、TEC21の武田は、1985年に、電子血圧計 に使用したカフ(腕帯)の圧力変動時系列から、最高、最低、平均血圧値を検出するアルゴリズムにs>wの場合のVDWを使用し、4ビットLSI(ROMサイズは2kバイト)に書き込みました。当時、ウエーブレットは未だ生まれてなく、1992年頃、 初めて、ウエーブレット変換の事を知り、以後、DSWVDW、 ADW 等を"物理的なウエーブレット”と呼ぶことにしました。

そして、さらに血圧の制御機構に関連していると考えられる50から150回程の心拍毎に繰り返す固有振動も見うけられます。これら2つの異なる固有振動が重なり合った様子(変調を受けた信号)が加速度Aに現れています。パワー(PW)の大きな変化は、血圧の制御機構に関連した変動が起きるたびに、生じています。 つまり、ある血圧の調節状態が、異なる状態へと遷移した時、その遷移がPW振幅値に大きな変動を与えています。

また、ジョギングをした影響が軽減していくにつれ、各グラフの振幅変動が大きくなり自律神経活動が活発になっていく様子がはっきり見えています。この様子を、D−A状態空間に描いた軌跡と共に図3に表示します。

図3 HR-AJ-5-5-D-A-PW.gif (95150 バイト)

D-A状態空間(平面)の座標系を下記に説明します。

  1. 原点: D=670msec、A=0、

  2. 縦軸: Aの大きさを表示する相対スケール、

  3. 横軸: 原点から右に-100msec左に+100msec

このD-A状態空間に描かれる軌跡が、交換、副交感の自律神経活動が、ジョギング終了直後、運動 をしたという負荷から徐々に開放され、通常の競合状態へと戻る過程を描きます。

しかし、その軌跡は、心拍間隔時間(D)が連続的に変化する(長くなる)のでなく、飛び飛びに遷移して いる状態を描いています。PWに付けられた番号1−4が、軌跡の集合番号1−4に対応しています。

その飛び飛びの理由は、負荷の開放に対する血圧の制御には、交換、副交感の自律神経活動の新たな調節に少し時間がかかって( 或るDを中心としてその周りに変動の幅をつくり)、次の状態へ(変動の幅だけ飛び越えて)遷移しているからです。なお軌跡を描くためのAとDを検出するADWDSWとは、 互いに直行するウエーブレット(波形)となっています。

同様に、D-V状態空間の軌跡を図4に描きました。Vのスケールは、Aと同様に相対表示です。軌跡の番号1−4は、図3の番号1−4と対応しています。

図4 HR-AJ-5-5-D-V.gif (14244 バイト)

 

図5に血圧の制御機構に関連していると考えられる50から150回程の固有振動を描いてみます。そのために、ADWをw=s=50とします。この様にして検出した加速度Aには更に長い周期 の変調を観察できます。

図5 HR-AJ-50-50-D-A.gif (93294 バイト)

図6に、そのような長い変調周期の成分で、1000拍(beat)余りの周期を抽出するのに、ADWをw=300、s=500として使用し た心拍変動の時系列を再描画してみます。

図6 HR-AJ-300-500.gif (89164 バイト)

図6に描いた加速度Aは、運動の負荷の影響を受けないで、絶えず固有な振動を継続していて、生体機能をつかさどる根幹の調節機構を反映していると思われます。 振幅値の変化は、負荷の影響の様です。

実際このような長い周期(1200拍ほど)の固有振動は、1999年の暮れから2000年にかけて、当時、呉国立病院の麻酔科医局長の洪さんが測定された脳死患者や、手術中の麻酔患者の心拍変動の時系列を解析しても出現します。  

私的な意見ですが、この様なTEC21の非線形解析方法は、生理学的な機能に関連していると思われる固有振動を加速度Aとして、心拍変動の時系列から任意にリアルタイム抽出することができます。さらに、その生体システムの運動を、状態空間に(D,V,A)ベクトルが描く軌跡で表現できますので、日々の生活環境や医療現場でも、生体の診断 と異常予知診断に広く利用できると思われます。

参考文献 

F. Takeda, “New real time analysis of time series data with physical wavelets”, Proc. 3rd Experimental Chaos conf. World Scientific 75 (1996). F. Takeda, “Real time analysis of heart rate rhythms with physical wavelets”, Medical & Biological Eng. & Comp. 35(supp. 1), F83-OS4.04, 530 (1997). Takeda, F., Okada, S., Time series analysis with physical wavelets, Session X23 - Biological Applications of Nonlinear Time Series Analysis, American Physical Society (2000). 洪淳憲、谷口永治、武田文秀、日高一朗、小松撤 心拍変動を記録できた臨床的脳死の1症例、第3回日本周術期時間医学研究会、11(2002).

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生活システム

TEC21の信号解析と装置で水道水の使用用途から家庭での生活状況を遠隔モニターする例

  • 流量計を飲料水の清流装置等に別途設置します。

  • 水道水の使用状況から使用用途を判断し生活状況を遠隔モニターします。

水道水の使用状況を遠隔モニターした実例は省略しますが、実例によると、例えば、一人暮らしの生活状況をモニターする事ができます。

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地震予知情報に使用しているデータは、防災科学技術研究所と国土地理院がオンライン公開している気象庁一元化処理の震源要素と電子基準点のF3座標値です。

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Last Updated : 2015/11/23 11:40