東北地方太平洋沖地震(東北巨大地震
)と地震予知
予知が可能であった東北巨大地震
東北地方太平洋沖地震(東北巨大地震)の概要(より詳しくは、東北地方太平洋沖地震)
日本列島は、2つの海洋プレートと2つの大陸プレートの境界に位置する地震の国である。プレートの相対運動による定常、非定常、周期的な地殻の応力変化が、地殻表面の状態と地震発生とを、複雑に変化させる。GPSと地震波を用いて、地殻表面の状態と地震の発生を連続観測すると、その複雑な変化は、観測値の時系列で定量化できる。時系列に出現した次の前兆現象は、大地震と巨大地震の予兆で、予知を可能とする。
1.
国土地理院は、地震の国に約1200の電子基準
点(GPSステーション
)を設置し、各ステーションの日々のF3座標
値(位置)を、2週間遅れて、公開している。
太平洋上の島々と、多数のGPSステーションの位置の時系列を、解析すると、巨大地震と津波を発生させたプレート境界の地殻変動は、2009年12月8日頃から始まり、2011年2月には、東北巨大地震が何時発生しても不思議でない状態に達していた[P1-P3]。
2. 防災科学技術研究所は、地震波観測で得た気象
庁一元化処理震源要素を、2日遅れて、公開している。選択地域の地震発生の変化は、その地域の震源要素の時系列で定量化できる。関東・甲信越や東北地方の時系列を解析すると、ランダムな変化をする地震発生に埋もれている不規則な周期変動に、特別な変動現象が、東北巨大地震発生直前にも出現していた[P4]。この特別の変動現象は、他の地域でも、数多く観測され、既に2種類の自然現象として分類されている。それらは、1995年のM7.2兵庫県
南部地震タイプのCQKと、2000年のM7.2鳥取県
西部地震タイプのCQTである[P1,
P5, P6]。それらCQKとCQTは、大地震発生の約2〜3カ月前に観測されている。
3. 対象地域の震源要素から得た地震の震源の深さ(DEP)、震源時の間隔時間(地震と次の地震が発生するまでの間隔時間、INT)を累積加算した2つの時系列は、大地震や巨大地震の発生に同期したサイクル変動が観察される。サイクルがピークに到達後、大地震、巨大地震が発生する[P1]。このピーク到達から発生までに要する日数は、選択した対象地域の広さに依存し、約1〜2日から数カ月となる。日本列島全体のINTの累積時系列のサイクルは、歪エネルギーのサイクルとして公開していた[P4]。サイクルがピーク付近に到達した状態は、大地震、巨大地震が、何時発生しても不思議でない状態なので、その状態を、地殻応力の臨界状態とする。臨界の意味は、後述する。又、地震発生のサイクルと歪エネルギーのサイクルを、これ以降、「臨界サイクル」と略称する。
参考文献
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