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予兆と予知、歪エネルギーの蓄積と解放サイクル(臨界サイクル)、地殻変動
予兆と予知 予兆とは大地震や巨大地震が発生する約2〜3カ月前から、今までとは異なる前兆現象が出現し、大地震や巨大地震の予兆となる。例えば、中・四国・近畿地域の地震発生の変化 を定量化した時系列d(c, j)のグラフ、図3a、を観察すると、一見ランダムに見える。しかし、これら時系列を、25イベントで移動平均し、更に35イベントの差分間隔で、2次差分をとると、2次差分値は、図3c-図3eのA(c,m)となり、約70イベントで周期変動している。これらA(c,m)は、時系列d(c, j)に完全に埋もれていたその周期成分を、平均操作と差分操作を組み合わたバンドパスフィルターを用いて抽出した周期変動である。周期変動していたA(c,m)が、大地震発生前にCQKかCQTとなる特別な位相、振幅関係を樹立した時、それらCQKとCQTとが予兆となる。この予兆を物理法則で記述できれば、大地震と巨大地震の予知が確かなものとなる。 しかし、殆ど全ての地震学者は、CQKやCQT予兆の存在を否定してきた。武田文秀が、2001年にCQKとCQTの存在に気付き、2002年の地球惑星合同会議での口頭と2件のポスター[1-3]で、地震予知を可能とするそれら予兆やGPSを用いた地殻変動解析を発表した。武田の発表の仕方が悪いのと、地震学の専門用語の使用に不慣れなせいか、発表時と 直後の質問とコメントは、予兆の存在を否定するものであった。これら否定の意見を集約すると、「CQKやCQT予兆は、ランダムな地震発生の現象に存在しないし、時系列解析手法が予兆を人為的に作り出している。」であった。その後、地球惑星合同会議と日本地震学会での発表[4, 5, 8 - 11]の2つの質問は、発表した細部[9]の資料提供を求める建設的な意見と、地震発生変化の周期振動[10]を疑問視する、2件であった。しかし、地震学者の中で、唯一人、CQKとCQT予兆を肯定したのは、同様な考え方を独立に提唱していた安芸敬一であった[6, 7]。従って、CQKとCQT予兆の有無を明確にするために、予兆の「無い理由」と「有る理由」の根拠を、それぞれ、Appendixに、概説した。 予兆に関する様々な見解が有る。従って、予兆の定義をする。基本的には加算と差分を取るだけの時系列解析であるが、予兆検出に利用すると、理解され難いので、「予兆の検出方法」の節で、その解析の概念を説明する。又、地震予知も、曖昧に、使用されているので[11]、予知の意味も明確にする。 予兆の定義地殻の定常、非定常、周期的な応力変化が、地震発生と地殻表面の状態とを、複雑に変化させる。地震波、GPS等を用いて、地震の発生と地殻表面の状態を連続観測すると、その複雑な変化は、観測値の時系列で定量化できる。 又、地殻の応力変化は、地殻の物性値、地殻の電磁場とその上空の電離層の状態をも変化させる。これら連続した観測値も、時系列化できる。時系列に、通常の変化とは異なる決定論的な変化が出現すると、「地殻の応力状態は、既に、通常とは異なる状態に到達し、大地震や巨大地震が、その領域で、何時、発生しても不思議でない状態にある。」と推論される。この地殻の応力状態を、「地殻応力の臨界状態」とし、大地震や巨大地震発生時刻を、「臨界点」とする。通常とは異なる変化の例が、[はじめに]で述べた地殻変動の膨らみ、CQK、CQT、AMR現象である。 大地震、巨大地震が発生する前後の地殻応力の状態を、2つの異なる状態(相)だとみなすと、「地震発生時刻を臨界点」、「大地震発生(臨界点)を作り出している、地殻応力の状態を臨界状態」、とし、統計物理学の液体とガスの相転移(2次の)に於ける臨界点、臨界状態と、略、同意語として使用できる。ただし、その地震の物理現象は、相転移の物理現象を意味するものでない。地震発生の物理とは無関係に、統計物理学の相転移に、例えて、武田が、適切だと思えた「臨界点」と「臨界状態」との呼称を「大地震が、何時、発生しても不思議でない状態」の記述に導入した。 従って、地殻の応力状態が、臨界状態に到達する過程で、観測される通常の変化とは異なる決定論的な変化が、大地震、巨大地震の予兆である [12-14]。 予兆の検出方法予兆は絶えず変化するので、その通常の変化とは異なる決定論的な変化は、何か別の独立した時系列と比較し確定されなければならない。例えば、CQKやCQTの様に、周期変動成分の変化を、振幅、位相の比較から、予兆として確定できる。従って、変化する予兆の確定は、少なくとも2つの独立した時系列の相互相関や比較を必要とする。自己相関から、検出できる場合もあるが、後述する「予兆の物理モデル」は確立できない。 単一の観測パラメータの時系列しか得ることのできない場合は、2つの独立した時系列を得るために、その時系列に物理的ウエーブレット[1-10]を適用し、任意の周波数領域で、観測パラメータの変位(位置)と速度を得る。この変位と速度を得る物理的ウエーブレットは互いに直行しているので、検出した、変位と速度とは、独立量となる。 古典力学では、位置(変位)と速度は、独立量となる。この2つの独立量が、同時に決まれば、経験的に、系の状態が確定され、系の振る舞いの決定論的な予測が可能となる。この事実は、数学的に次の事を意味する。位置とその一次微分の速度が同時に与えられると、位置の2次微分である加速度は、その時、一意的に定まる[15]。 単一観測パラメータの(変位、速度)からなる位相平面の運動軌跡を解析すれば、2つの独立した時系列を比較する事になり、通常とは異なる決定論的な変化を予兆として抽出できる [12-14]。その具体例として、GPSステーションの地殻変動時系列を用いた2003年9月26日のM8十勝沖地震 [12]、2011年3月11日のM9東北巨大地震 [14]の地殻変動に出現した予兆検出例もある。 地震波観測で得られた2つ以上の震源要素の時系列を用いた予兆検出では、それら震源の深さ(DEP)、マグニチュード(MAG)、震源時の間隔時間(INT)からなる3つの時系列から得た加速度の振幅、位相の比較が用いられ [12-14]、日本で発生した大地震、東北巨大地震等のすべての予兆が、群発地震直後の大地震等の特殊な場合を除き、CQKとCQTからなる2種類の通常の変化とは異なる決定論的な変化として検出され、大地震、巨大地震が発生する前に、決定論的な予知がなされた地震も数多くある[12‐14]。 予兆検出と異常予知診断「変化する予兆を確定し、検出するには、少なくとも、2つの独立した時系列を必要とする」と言う大地震、巨大地震の予兆検出の概念は、武田文秀が、1980年代の後半から始めた生体、重機械、重機器工具を取り扱う分野の「通常の変化とは異なる決定論的な変化」をシステムに発生した異常とする異常予知診断技術で確立した [16-22]。 例えば、単一観測パラメータの時系列に、物理的ウエーブレットを適用して得た位相平面の運動解析と、速度と加速度の相関を2つのパラメータの積、速度×加速度=パワー(運動エネルギーの変化率)として求め、パワーの強度変化を予め定めたしきい値と比較し、リアルタイムで、「通常の変化とは異なる決定論的な変化」を、システムの異常として自動検出する原理、方法、装置を確立した [16-22]。その異常予知診断技術を応用した重機器工具破損防止装置は、実機試験で、 サンクションロール穴あけ加工中、ドリル刃の破損を、破損する直前に、完璧に(100%)回避している。又、パワーを用いた異常等の特殊な変化の検出とシステムの制御装置は、製鉄プラントの圧延加工機器の圧延ロールに発生するミクロオーダーの微小変形をインラインで異常として検出し、その圧延ロールの微小変形を修復するインライン研磨工程にも活用されている。 予知の定義予知とは、予兆の物理モデルを利用し、大地震の震源、もしくは発生場所、発生時期、マグニチュードからなる3要素を予測する事である。巨大地震の場合は、場所と発生時期を予測する事である。 予知の精度精度は、予測した震源時、震源、マグニチュードと、実際の値との差の範囲である。 大地震の場合 後述の兵庫県南部地震等の過去に発生した大地震[12 -14]の予知や、実際に予知を行った結果[12, 14, 23]から、次の精度を目標とする。 巨大地震の場合 参考文献 Appendix(予兆の有無)無い理由地震はフラクタル安芸敬一 (Keiiti Aki)は、1981年、地震現象(地震の発生分布)は、フラクタルである事に最初に気付いた [A1, A2]。 地殻の脆性(Brittle)部分で、発生する地震の発生変化は、本質的にランダムであり、大半の地震が脆性部分で発生している。それらランダム現象を、あるマグニチュードMx以上のすべての地震発生回数N(Mx)の対数とMxの関係でグラフ表示すると、勾配が、略−1となるスムースな直線関係を持つ。この関係が、グーテンベルク・リヒター (Gutenberg–Richter) の普遍法則である。これ以降、この法則をG-R法則と略記する。Mx以上のすべての回数N(Mx)は、積算回数となる。積算回数でなく、Mxの範囲を、例えば、その値から0.1の幅を持つ発生回数ΔN(Mx)とMxの関係も、ΔN(Mx)の対数とMxの凸凹した、略、直線関係となり、G-R法則に従う[A3]。 安芸敬一は、その法則の地震のマグニチュードを断層の面積Sに置き換え、地震の発生回数分布が、断層面積のべき乗則(power law)に従う事を導いた。断層面積Sを持った地震の数N(S)がSのべき乗となるので、複雑な断層分布地帯(幾何学的対象物A)に発生する地震現象(対象物Aを面積Sの物体で埋め尽くす)は、フラクタルとなる事を発見した。「一つの断層に、一つの地震が発生する」とすれば[A2]、小さな断層も大きな断層も、大きさの異なる地震を 、同じメカニズムで発生させ、大地震だけを、特別に発生させる特別な構造を持つ断層は存在しない事を示唆する。つまり、小さな断層も大きな断層も、同様に、破壊スリップするので、次に発生する地震(スリップする断層)は、大地震(大きな断層)であると予知できる予兆は存在しない事を示唆する。 無いへの補足対象とする現象の統計分布が、べき乗になると、時間や空間的に異なる物差し(スケール)を用いて、その分布を、再調査しても、分布法則は変化しない。即ち、その現象は、統計的に、スケールに依存しない(scale-independent)、自己相似(self-similarity)となる。よく知られている様に、特別なスケールを持たない自己相似の性質は、フラクタルの特性でもある。自然界の複雑な現象に普遍的に観察されるこのべき乗法則(自己相似なフラクタル)が、何故生じるかを説明する試みとして、1987年、Bak、Tang、Wiensenfeldは、SOC (Self-Organized Criticality)の仮説を提唱した[A4, A5]。SOCの仮説は、複雑なシステムを、簡単なべき乗法則で記述するので、逆に、簡単なべき乗法則で記述される地震発生の複雑な変化は、SOC仮説に調和しているとする見方もある[A5]。この見解に立てば、当然、「大地震の予兆は存在しない」し、「地震予知は不可能」となる[A6, A7]。 G-R法則への補足Leon Knopoffは、2000年に、南カリフォルニアの地震発生の完全な震源要素カタログ(4.1≦M≦7.7、1944年7月1日から1990年3月1日まで)を用い、G-R法則の勾配には、M4.8付近で、2つの勾配を持った直線の交わりが在り、マルチフラクタルである事を発見した [A3]。従って、彼は、地震発生は、Mx以上のすべての地震発生回数N(Mx)の対数とMxの関係にスムースな直線の勾配が、略−1となる普遍法則を、スケールに依存しない、自己相似と解釈する事とその運用に警告を発している。彼の警告は、次の観察事実に基づいている。 G-R法則のMx以上のすべての地震発生回数N(Mx)は、積算回数で、発生分布にする変動(凸凹)を平滑した普遍法則である事は正しい。 しかし、積算回数N(Mx)でなく、Mxの範囲を、例えば、その値から0.1の幅を持つ発生回数ΔN(Mx)の対数とMxの凸凹したG-R法則には、余震も含めた完全なカタログを用いても、M4.8付近で異なる2つの勾配直線の交わりがあり、余震を取り除くと、2つの勾配の大きさの違いは、2倍にもなると警告している。 従って、Leon Knopoffが警告している様に、積算回数N(Mx)のみ用いたG-R法則から、地震発生が自己相似であるとか、単純に大地震を確立的に予測する試みは誤りである。 参考文献目次に戻る有る理由理由1G-R法則から得たべき乗則は、地震を発生させる断層の破壊メカニズムが、断層の大小にかかわらず同一である事を確約する。しかし、破壊スリップに至る断層周りに、物性的な変化が生じれば、断層面積に比例する物性値の変化量が出現すると期待できる。従って、大地震発生直前に、その物性値の変化量が大きくなり、異常な増大を予兆として、観測できる可能性がある。大地震の予兆は存在すると期待できる。 例えば、井戸水の塩化イオン含有量の時系列から、1995年1月17日のM7.2の兵庫県南部地震発生約1年2カ月前から周期的な変動が始まり、振幅値のピークは、地震発生直前にピークに到達した。その変動は、大地震発生後、大地震の予兆と確認されている [A8-A10]。同様な予兆は、西宮市の地下水中のラドンの異常濃度の異常上昇が、地震発生1週間程前に、ラドン濃度変化の時系列に出現し、予兆と確認された [A11]。又、断層がスリップする直前の地殻の物性的な変化が、地電位にも変化をもたらす事も期待され、その地電位変化を予兆と確定できた例もある [A12]。また、その上空の電離層に変化が生ずる事も期待され、GPSのステーションの日々の位置座標の観測値にも、地震発生の1−2週間程前に、地殻変動とは無縁な 電離層の異常変動が、大地震の予兆として観測される場合もある[3, 12]。 参考文献理由2対象とする地震発生領域では、大地震や巨大地震の発生直前の地殻に蓄積された応力が作り出す、加速された地震モーメントの開放現象(Accelerated Moment Release-AMR現象)がある [A13]。AMR現象は、大地震が発生する前に、 広範囲の対象領域内で有感地震が、互いに相関関係を持ちながら多発する現象である。この多発には、地震を発生させている領域に沿って地震発生の時空分布に特有なパターンが存在する [A14, A15]。安芸敬一の盟友でもあったValadimir Keiis-Borokは、ロシアの地震予知研究所で開発したM8アロゴリズム [A14, A15]を用いて、地震の震源カタログから、地震発生変化の特有なパターンを統計解析し、サンフランシスコの湾岸地帯(San Francisco Bay Area)で1989年10月17日に発生した M 7.1 のLoma Prieta の地震を前もって予知した [A16]。その予知情報は、1986年10月11−12日に、アイスランドの首都レイキャビクで開かれた、レーガン大統領とゴルバチョフ書記長とのレイキャビク会談(The Reykjavík Summit)でゴルバチョフ書記長から、レーガン大統領に直接伝えられた [A16]。AMR現象は、大地震の予兆である。 又、相転移の臨界点付近の現象は、統計物理学の理論により、べき乗則(自己相似のフラクタル)となる [A5]。従って、同様なべき乗則を持つ大地震発生前後の現象が、臨界点付近の物理現象と類似していれば、その大地震発生時期は、相転移の臨界点となる。従って、この仮定が正しければ、臨界点に到達する直前の状況が[A7, A16]、大地震の予兆となる。 参考文献理由3安芸敬一(Keiiti Aki)、1996年に、大地震の予兆存在を示唆する次の、地震発生の変化と、地震波の後部に属するコーダ波の観測結果を報告した [A17]。 脆性部分(Brittle)と延性(Ductile)部分の境界付近で発生する地震は、マグニチュードが、3から4程で、発生が、周期的な変化をする。脆性部分でも、これらのマグニチュードを持った地震は、発生しているが、この、ランダムとは異なる、周期的な変化をしながら発生する地震が存在する事を、Anshu Jinと共に、初めて、発見した。フラクタルでない特別なメカニズムを持った地震の発生変化がある事を発見し、震源要素の時系列に、「大地震の予兆が存在する可能性」がある事を示した。 安芸敬一は、1995年、南カリフォルニアから、レユニオン(Leunion)島に移住し、ピトン・ドゥ・ラ・フルネーズ(Piton de la Fournaise) 火山の噴火予知研究を始めた [A18,A19]。この研究から、2002年に、それまで持っていた大地震の予兆に関する固定概念、例えば、存在する理由1に述べた予兆の概念と抽出方法の誤りに気付いた。つまり、火山噴火の予兆となる信号の強さのレベルは、定常ではなく、ある時は、強く、ある時は、弱くなり、予兆は、絶えず変化している事に気付いた。そして、1996年に報告した、[A17]のデータを再解析し、通常の周期的な変化とは異なる変化の仕方が、マグニチュードが略7以上の大地震の予兆となっていた事を、2003年 [A20]、2004年 [A21]に、報告した。その異なる変化を見つけるために、周期変動しているマグニチュードが3から4程の地震のみで作成したマグニチュードの時系列と、地震波の後部に属するコーダ波の減衰率Q-1の時系列との位相を比較し、大地震発生1−2年前に、通常の変化とは異なる特別な変化(減衰率Q-1の位相遅れ)を、大地震の予兆として抽出した [A20 – A22]。従って、通常の変化とは異なる決定論的な変化、即ち、大地震の予兆は存在する。 参考文献理由4武田文秀(Fumihide Takeda)は、日本の領域を約4度のメッシュ領域に分割し、気象庁震源要素および気象庁一元化カタログからMが略3以上の地震を、各領域に選択抽出し、その領域の震源要素の時系列を作成した。それらランダムな時系列に埋もれていた周期変動を、物理的ウエーブレットを用いて加速度として、抽出した。加速度は、地震発生の2次の変化率となる。大地震の予兆となる異質な変化を抽出するために、震源の深さ(DEP)、震源時の差(INT、地震と地震の発生時刻の差)、マグニチュード(MAG)の加速度変化の振幅位相を比較した。そして、通常の加速度変化とは異なる変化が、Mが略6以上の大地震の予兆となる事を、2001年に発見し、この通常とは異なる変化を、1995年のM7.2の兵庫県南部地震のCQKタイプと、2000年のM7.2の鳥取県西部地震のCQTタイプの2種類に分類した[A23 –A25]。CQKのKは神戸(Kobe )のK、CQは臨界静穏(Critical Quiescence)のCQを意味する。CQTのT は、鳥取(Tottori)のT、CQは、臨界静穏を意味する。臨界静穏は、大地震が発生する前後を2つの相に分け、大地震発生前の何時大地震が発生してもおかしくない臨界状態を意味する。従って、統計物理学の相転移に於ける臨界現象の臨界、臨界点を大地震発生時期とする同意語として使用しているが、その地震の物理現象は、相転移の物理現象を意味するものでない。 日本で発生した過去の大地震、東北巨大地震は、すべてCQKかCQTの何れかの予兆を持ち、CQK、CQT予兆が出現しない数少ない例は、群発地震直後の大地震発生等、特殊な場合のみである[A23 – A25]。従って、大地震の予兆は存在する。 参考文献有無の結論予兆が無いとする唯一の理由は、発生回数に出現する凸凹を累積加算してその分布を平滑したグーテンベルク・リヒターの普遍法則から導かれたべき乗則が、「地震の発生変化は、統計的に、自己相似(self-similarity)でフラクタルである」事を示唆しているからである。また、地震発生変化の統計法則が、単一のべき乗法則で記述されるので、そのべき乗則を一般的に導き出すSOCの仮説が、地震現象を正しく表しているとすれば、予兆は存在しない。 しかし、「グーテンベルク・リヒターの普遍法則への補足」の節で述べた様に、そのグーテンベルク・リヒターの統計法則の累積した発生回数を、発生回数にすると、勾配は、2つの勾配(クロスオーバー)を持つ。また、余震を除くと、グーテンベルク・リヒターの統計分布の勾配は、顕著なクロスオーバー(2つに分岐する)を持ち、導かれるべき乗則が2つの勾配を持つマルチフラクタルとなる [A3]。従って、大小の地震を区別する異なる断層構造が存在し、予兆は存在する。 有る理由1−4から、「予兆は存在する」と断定できる。ただし、「理由3と4」の予兆が、「通常の変化とは異なる決定論的な変化」に適合し、決定論的な予知を可能とする。 |
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