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臨界サイクルの説明
![]() 図2a:中・四国・近畿地域の震源分布 中・四国・近畿地域の地震発生の変化を定量化する震源要素の時系列d(c,j)は、次の図2a-図2bに表示した地震から選択した地震の震源要素から作成する[P1, P6]。 図2aの地震の震源分布は、1983年1月6日から2012年1月30日までに発生したマグニチュードが3.0以上の地震で、それらは気象庁の全国震源カタログと一元化震源カタログから集めたものである。水色の点で示された各地震の震央は、マグニチュード(MAG)が3.0以上3.5未満で、黒色の丸印の震央は、MAGが3.5以上の地震である。MAGが5以上で6未満の地震には、橙色の三角印、MAGが6以上の8個の地震の地震は、薄橙色で塗りつぶした丸印と発生年代のラベルを付けてある。同じ年代に発生した地震には、アルファベットのaとbとで区別している。1983年に発生した三朝地震は、1983bとラベルが付けられている。又、2つの群発地震は、発生年代の前に群発(Swarm)のSが付けられている。深発地震に関しては、MAGが3.0以上3.5未満の地震は黒色の円内を、MAGが5以上で6未満の地震は、黒色の三角内を、MAGが6以上の地震は黒色の大きな円内を、それぞれ青色で塗りつぶして表示してある。 臨界サイクル(歪エネルギー密度のサイクル)の説明中・四国・近畿の臨界サイクルの例図3aに、緑色で表示 した震源要素時系列、d(c,j)の作成方法気象庁一元化カタログと気象庁カタログから、図2の中国・四国・近畿を含む緯度32度-36度、経度131.5度-136.5度の小さな領域内に発生した地震で、深発地震を除き、マグニチュード(M)が、M≧Mc(Mc=3.5)で選択される地震のみ抽出する。抽出した地震の震源要素を、地震の発生した順番に並べ、次の様に、時系列データを作成する。震源カタログから抽出した3つの継続した地震の震源情報 が、最初の地震(0番目)から2番目まで、次に与えられているとする。 ここで、震源時は、地震の発生時刻で、YYYY/MM/D:mm:ss.ss の表示形式で与えられ、震源地 は、LATが、緯度、LONが、経度、DEPが震源の深さ、MAGが、マグニチュード である。 これら3つの地震の各震源要素に震源時の差である間隔時間INTを加え、震源要素を(LAT、LON、DEP、INT、MAG)とした時系列データの作成は、それぞれの単位を、LATとLONが度、DEPがkm、INTが時間(60分)とすると、次の様になる。 0番目のINT=Xは、その前の地震情報がないので震源時(発生時刻)の差である間隔時間INTが算出できない事を意味する。従って、1番目が時系列データの始まりとなる。この時系列の表記方法を次に述べる。 時系列にする各震源要素を任意パラメータcで表記し、時系列の時間tを地震の発生順序j(j=1、2、3、・・、m、・・)とし、各震源要素の時系列を、[c]=[c(1)、c(2)、c(3)、・・、c(m)、・・]とする。例えば、各時系列[c]は、震源要素cを、 と表記される。地震の発生順序を示すインデックスjの1、2、・・・が各時系列の時間tとなる。これら震源要素cの時系列[c]を、次の数式(1)で表記する。
図3aの地震発生の変化のランダム変化を平滑し、最大の変動値が1となるように規格化する。例として、震源要素cが、INTとDEPの時系列d(INT,m)とd(DEP,m)を取り上げる。平滑は、移動平均でも累積加算でも良い。ランダム変動のみならず、予兆と予知の図3c-図3eで観測したA(c,m)の略70イベントの周期変動も平滑する場合は、移動平均個数を70イベントとしたとした時系列<d(INT,m)>の過去の最大値がそれぞれ1となるように規格化した時系列を、NCI(m,70)とする。同様に、<d(DEP,m)>を規格化した時系列を、NCD(m,70)とする。規格化に用いた2つの時系列の過去28年間の最大値<d(INT,m)>maxと最大値<d(DEP,m)>maxは、 となる。これらNCI(m,70)とNCD(m,70)は、図4に示すように、大地震発生と同期している。サイクルのピークは、大地震発生前に出現する。規格化したNCI(m,70)は、1994年4月6日に、又、NCD(m,70)は、1994年1月31日にピークに到達後、共に減少し始め、更に急減少する過程で、1995年1月17日にM7.2の兵庫県南部地震(1995)が発生した。この様な、大地震発生前から始まる急減少は、M7.2の兵庫県南部地震以降、1997年6月25日に発生したM6.6の山口県東部地震(1997)、そして、2000年10月6日に発生したM7.2の鳥取県西部地震(2000)に観察されている。しかし、2001年1月12日に発生した兵庫県北部の群発地震(S2001)直後の2001年3月23日に発生したM6.7の安芸灘地震(2001)の場合、観察されない。これは、前記CQKもしくはCQT予兆が出現しない例として前述した2000年10月6日に発生した鳥取県西部地震(2000)後の兵庫県北部の群発地震(S2001)と、その71日後に発生したM6.7の安芸灘地震(2001)の連動に起因する。安芸灘地震以降観察されているピークは、大地震は、発生していないが、M 5.9地震の発生と、M5.4以上の地震の多発とに関連している。又、m=1500付近のピークでは、領域に隣接した大分県で、M6.2地震(発生日= 2006/06/12、緯度=33.135度、経度=131.408度、震源の深さ=146.2 km)が発生している。 まとめ地震発生の変化から得た臨界サイクルは、大地震、巨大地震の発生と同期していて、サイクルのピークは、必ず、発生の前に起きる。この現象は、大地震や巨大地震の発生直前から、加速された地震モーメントを開放する、AMR (Accelerated-Moment-Release)現象[P11]である。従って、臨界サイクルをモニターし、これら大地震、巨大地震の発生時期を予測できる。 又、サイクルのピークに到達する様子をモニターする事は、任意に選択した対象地域の地殻の応力が、臨界状態に到達しているかどうかを、監視している事になる。臨界状態とは、大地震、巨大地震が何時発生しても不思議でない危険な状態を意味する。 NCI(m,70)とNCD(m,70)は、この地域の歪エネルギー密度 に比例する事が証明されている[P1]。 地震発生変化のランダム現象を平滑化した移動平均個数の70をより少なくし、例えば、40とすると、AMR現象を、大地震や巨大地震が発生する時刻をより早く検出できる。
[P1] 武田文秀、 |
地震予知情報に使用しているデータは、防災科学技術研究所と国土地理院がオンライン公開している気象庁一元化処理の震源要素と電子基準点のF3座標値です。 Copyright © 2003 TEC21. All rights reserved. This website has been opened since June 2003. Last Updated : 2015/11/23 11:40 |