巨大地震の予知
東北巨大地震の予知と
その検証
目次
2011年3月11日に発生したM9東北巨大地震の予知が可能であった事を、地震発生の変化、地殻変動、歪エネルギー密度のサイクルの3項目
を用いた説明をします。
公開した予兆に関する大地震の予知と検証
2011年3月11日の東北巨大地震発生の3週間程前から抽出していた3つの予兆の大地震の予知の実施例を述べる。これら予兆は、関東・甲信越・中越地方(32.5度−38度、136.5度−142度)と、新潟・中越地方(36度−40度、136度−140度)と、東北地方(38度−42度、138度−143度)とに出現していた。予兆の抽出は、www.tec21.jp
の2011年2月19日の最新地震情報で下記項目の(2)に、次の様に、公開した。
なお、(2)の予知結果は、公開していない。
上記3つの領域に出現した予兆の大地震は、
であった。2011年2月28日の実施した予知
の詳細は、各地域の予知で述べる。
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地震発生の変化
選択した領域内の地震発生の変化から得たCQKとCQT予兆から巨大地震を予知する事である。上記、2011年2月28日の時点で、3つの予兆が出現していた。
上記3つの予兆に該当する大地震を予知できた。発生日時の予測に関して、これら複数の大地震は、最終的に、2011年3月9日の時点で、3月11日頃発生すると予測でき、連動した大地震もしくは巨大地震として、3月11日に発生したM9の東北巨大地震の発生を推測できた。しかし、そのマグニチュードは、直接予測できなかった。それは、次の理由による。2011年3月11日のM9東日本巨大地震の断層長Lは、約500kmとなり、メッシュを構成する緯度差に換算すると約4.5度となる。一方、上記大地震の予知のため選択した領域の広さは、約4〜5度の緯度、経度幅からなるメッシュであった。従って、選択した領域(メッシュ)内の地震発生の変化から、いまにも発生しそうであった巨大地震の断層幅Wを直接抽出できなかった。
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地殻変動
上記、大地震の連動が、予測された領域を含む日本列島全体の地殻の表面の変化を、GPSで観測する事により、地殻の応力変化の異常を抽出し、巨大地震の発生を直接予測する事ができる。
日本列島及び島々に張り巡らされた、国土地理院の約1200のGPSステーションの地殻変動解析に多くの時間を必要とするために、上記2月28日の時点で、その解析は一切実施されていなかった。その地殻変動の異常抽出は、3月11日の東北巨大地震発生後に、実施した。上記大地震と巨大地震を区別するマグニチュードの予知は、「プレート境界の地殻表面の変化に出現する異常が、巨大地震の予兆となり、その予兆の広がりが、今にも発生しそうな巨大地震の断層長(L)となる」自然現象を利用した。
地震発生の変化から、大地震の予知をする場合、任意選択する領域の広さは、約4〜5度の緯度幅と経度幅からなるメッシュであった。しかし、2011年3月11日に発生した東日本巨大地震の断層長Lは、約500
kmで、メッシュを構成する緯度差に換算すると約4.5度となる。巨大地震の発生場所(領域)は、過去に繰り返し発生した直線的な広範囲のプレート境界領域に限られる。従って、広範囲にわたるプレート境界で発生する巨大地震の予知には、「プレート境界の地殻表面の変化に出現する異常が、巨大地震の予兆となり、その予兆の広がりを、今にも発生しそうな巨大地震の断層長(L)とする」自然現象を利用した巨大地震の予知が求められる。
地殻
表面の変化に出現する異常を、巨大地震の予兆として検出するために、その領域に設置した多数のGPSステーションの位置を、地殻表面を構成する質点とみなし、その質点変動(地殻変動)を、それらGPSステーションの所定の位置座標からの変位として定量化する。各GPSステーションの東西(E)、南北(N)、上下方向(h)からなる直交座標系(E,
N, h)の各軸の成分をcとすると、時刻 jの変位の各成分cは、d(c,j
)となる。時間jは、単位時間として、1日を用いる。
地殻の定常、非定常、周期的な応力変化が、もたらす地殻表面の変化、d(c,j)には、ランダム変動は、本質的に、存在しない。しかし、時系列d(c,j
)には、地殻表面の質点運動とは無関係なGPS観測に付随するランダムノイズや、周期変動が多く含まれる。特に、上下方向の日々のランダム変動は、大地震による地殻の隆起や沈降の大きさと同程度の±2
cm程にもなる。従って、地殻変動に出現する予兆の決定論的な物理モデルの作成も、地震発生の変化からの予兆モデル作りと、同様に、物理的ウエーブレットを用いる。その結果、地殻変動の位相平面解析により、プレート境界に出現する巨大地震の予兆を、次の3段階に、特定できた[3,
11, 12]。この地殻変動の定量解析は、Appendixの「地殻変動解析」で述べる。解析結果の一例のイラストが、図1b-図1dである。
従って、巨大地震の上記予兆発生と推移をイラストにした物理モデルを利用し、次に述べる広範囲なプレート境界領域の臨界状態検出を組み合わせた巨大地震の予知が可能となる。
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臨界サイクル
日本列島全体を含む広範囲な領域を分割し、各領域の地殻に蓄積された歪エネルギーの密度をモニターし、地殻の臨界状態(AMR現象)が同時に検出される領域の広さを確定し、それら領域に広がるプレート境界の長さLを推定することから2011年3月11日に発生したM9東北巨大地震を予知できていた事を検証する。分割した領域を次の7領域とする。
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巨大地震発生直前の臨界状態の有無とマグニチュードの予測
AMR現象の有無による各領域の臨界状態の有無を次にまとめる。
従って、東日本の太平洋プレートと大陸プレートの境界で大規模なAMR現象を検出している。このプレート境界の直線的な長さは、500km余りとなる。
この断層の長さ、L=500kmを、Utsuの経験則[30]、
に代入しマグニチュードM =9を得る。
また、東北・北海道地方と日本列島を含む広範囲な領域のAMR現象抽出後から数日から数時間以内に、その巨大地震が発生すると予測できる。
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