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太平洋プレートの異常加速運動

 

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A-1a:太平洋プレート(父島)の運動

父島のGPSステーションのF3座標値を数式(A1)で表示される変位時系列に変換し、上段から、南北、東西、上下方向の変位の推移として、図A-1aにグラフ表示した。1996年からの1999年までのデータには多くのノイズがあり、それらデータは解析に使用せず、2000年1月1日から2011年3月8日の期間のデータを使用した。父島の ステーションは3月8日を持って予め運用停止が決定されていたので、3月9日以降の父島のステーションの位置座標は観測されていない。


図A-1aの説明(地殻変動グラフの説明)

グラフの縦軸のプラス方向(上向きの方向)は、上段がN()方向、中段が、E()方向、下段が、地表からh() 方向となる。各縦軸の単位は、全てメートル()で、赤色の目盛りの原点(ゼロ)上に黒色で記される目盛値が、200011日の位置を基準値の0 mとするオフセット値となる。

例えば、上段の南北方向の変位時系列[N]の赤色目盛りの原点(0)上の黒色で記された0.05(メートル、m)が、200011日の南北方向の変位0mの基準位置からのオフセット値となる。従って、変位ゼロの基準位置は、目盛りが5000倍に拡大されているので、0.05メートル下方の、目盛りの-250に相当する個所となる。

横軸は、各段に共通な日数の時間軸mで、1目盛は、単位時間の1(day)である。最下段の時間のウインドウは、任意期間を拡張表示する拡張ウインドウである。

時系列[N]の変位d(N,m)の推移は緑色で表示され、上の方向(北の方向)へ移動している。観測値に欠損日があれば、その日を、除去し、前後の日で連結表示している。又、201138(m=3940)の最終の変位値は、左側の水銀柱の目盛りに緑色の柱の高さ赤色の原点ゼロの位置からオフセット表示され、その変位の値が、下方(縦軸と横軸が交わる付近)に緑色で0.1182メートルと記されている。又、(E,N,h)の直行座標の関係を図示した。

同様に、中段には、東西方向の時系列[E]の変位の推移が、縦軸の拡大率2500倍で表示されている。200011日の位置からのオフセット値は、縦軸目盛りの原点ゼロで、-0.2mとなる。西方向への変位d(E,m)の総移動量は、10年余りで、0.3896メートルとなっている。

下段の拡大率は、上段の5000倍と同じで、時系列[]の変位d(h,m)の上下変動は、10年余り、殆ど無かった事を示している。200011日の位置からのオフセット値は、ゼロで、縦軸目盛りの原点ゼロ上に、0と表記されている。約0.02メートル(2cm)の日々の上下変動(ジグザグな振幅変動)は、実際に生じる地殻の上下変動とは、全く無関係なGPSの観測に関連する環境ノイズによるものである。もし、GPSステーションで観測する環境に異常が無く、一日に2cmの地殻の上下変動があれば、その地殻変動は、地震発生によるものである。

A-1aによると、父島のステーションの通常な西方向への運動は、10年余りにわたり39cm移動していた。その年間の変化率は、約3.9cm/yearとなり、日々の変化率は、約0.11 mm/dayとなる。


地殻変動

GPSを用いて観測した各電子基準点(GPSステーション)の世界測地系(地球の重心が原点)の位置座標値を、各ステーションに定めた東西(X)、南北(Y)と上下(Z)方向の直行座標系の位置座標値に変換する。この座標値を用いて、ステーションの位置が変化する推移を、3方向成分の時系列とし、所定の基準位置からの変位とする。この3成分の時系列を、数式(1)の時系列[]と同様に記述する。従って、cは、東西方向(X)成分を表すE、南北方向(Y)成分を表すN、上下方向(Z)成分を表すhとなる。各時系列の単位は、メートル()、時間を示すインデックスjは、日数となり、単位時間は、1日となる。GPSステーションの基準位置を、初日のGPS観測値とすると、初日の変位が、ゼロとなり、2日目の変位が、基準値からの位置変化の値となる。変位時系列データの各成分は、数式(1)の震源要素cを、ENhで置き換えた次の数式(A1)となる。

              A1

初日の位置を、ステーションの基準位置としたので、d(E,1)、d(N,1)、d(h,1)はそれぞれ、ゼロとなる。しかし、ステーションの基準位置は、任意日のステーションの位置に取ることもできる。この場合、任意に選択した日の各変位がゼロとなる。

この様に、GPSステーションの日々の位置座標を時系列化し、その平均値を基準位置とし基準位置からの変動を変位時系列とするグラフ化やデータ化の技術は、国土地理院のウエブサイトで公開され、それら表示データもダウンロードできる。変位時系列の単位時間は、1(24時間)である。更に、公開されている10年以上の長期間のGPSステーションの日々の位置情報は、F2F3解析の各年毎のデータファイルとして、ダウンロードできるので、それら世界測地系での位置情報を数式(A1)の変位時系列(単位時間は1)に座標変換すれば良い。GPSステーションの位置情報は、GPSの観測データの処理方法に依存するので、この単位時間は、1(24時間)でなく、処理速度の速い1秒とする事もできる。

数式(A1)で与えられるGPSステーションの変位は、ノイズによる変動が大きい。特に、数式(A1)の[]の上下変動は、丁度、地震の発生(仮想粒子の出現)が描くジグザグ 軌跡となる。[]軌跡のジグザグ箇所で、その時間微分は 不可能となり、運動の微分方程式を導出できない。他の[E][N]成分も、拡大するとノイズの影響が在り、数式(1)の震源要素時系列[c]と同様に、ジグザグ箇所で、その時間微分が不可能となる。従って、その時間微分操作が持つ時間の非対称性に関する物理的性質を、正しく反映する差分操作を導出しなければならない。この差分操作を満足させる物理的ウエーブレットを用いて、時系列(A1)から、変位D(c,τ)、速度V(c,τ)、加速度A(c,τ)を検出する。

GPSステーションの時刻τの変位D(c,τ)、速度V(c,τ)と、そのD-V位相平面図のD(c,τ)-V(c,τ)軌跡とを用いると、ノイズに埋もれていた「地殻変動の異常」を「巨大地震発生の予兆」として確定できる。その予兆の推移(巨大地震発生の自然法則)の唯一の観測例が、2011311日に発生した東日本巨大地震である。太平洋プレートと大陸プレートの動きを、物理的ウエーブレットを用いて観察する。

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地震予知情報に使用しているデータは、防災科学技術研究所と国土地理院がオンライン公開している気象庁一元化処理の震源要素と電子基準点のF3座標値です。

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Last Updated : 2015/11/23 11:40