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予兆と予知、歪エネルギーの蓄積と解放サイクル(臨界サイクル)、地殻変動
中・四国・近畿地方
兵庫県南部地震の予知検証と和歌山県のM5.5地震(2011/7/5)の予知
図11a:兵庫県南部地震の予知実験 予測した震源は、LAT、LON、DEP行の赤色の破線矢印先で、それら各数値が表示されている。予測断層幅Wは、20kmとなり、マグニチュードは6.8となる。1994年10月24日から、19イベント後に、大地震が発生する。 中・四国・近畿に発生した大地震の予知と検証[14]M7.2の兵庫県南部地震(1995-1-17)に関し、 日付を、1994年10月24日 に戻し、大地震の予知j実験とその検証を行う。 文献[9, 23]に、予知情報のみ公開した中国・四国・近畿地方の大地震の予知を、述べる。この公開した予知結果は、京都府の亀岡市付近を震源地としたCQKタイプの大地震であったが、断層幅wの予測を除き、誤りだった。 その誤報の要因は、そのCQK予兆が、不完全な反転を持つ加速度A(DEP,t)とA(INT,t)であったにも関わらず、完全な反転をもつCQK予兆とした事による。このCQK予兆の誤認に起因する誤った予知と、その後実施した正しい予知結果とその検証を述べる。なお、正しい予知結果は、公開していない。 兵庫県南部地震の予知対象とした地震は、中国・四国・近畿を含む緯度32度-36度、経度131.5度-136.5度のメッシュ領域で、1991年12月7日から、1994年10月24日までの期間(480-583)に発生したマグニチュードMが3.5以上の深発地震を除いた地震である。従って、1995年1月17日に発生した兵庫県南部地震は、含まれていない。図9aと同様に、震源要素の時系列[c]の変位d(c,m)、変位検出ウエーブレットで検出した変位D(c,t)、加速度検出ウエーブレットで検出した加速度A(c,t)を、震源要素c(c=LAT、LON、DEP、INT、MAG)の行、即ち、LAT行、LON行、DEP行、INT行、MAG行に分けて図示した。横軸に地震発生の順番(イベント数)mとtを、各行に共通な時間軸として、図示した。変位検出ウエーブレットの幅Δtは、Δt=25=2w+1なので、遅れ時間Δは、Δ=w=12イベントとなる。加速度検出ウエーブレットの差分間隔sは、s=35イベントなので、時刻tはmから常に遅れ、その遅れ時間は、tとmの関係が、変位D(c,t)の場合、t=m-wなので、12イベントとなり、加速度A(c,t)の場合、t=m-w-sなので、47イベントとなる。 CQKの検出加速度A(c,t)のグラフ表示のスケールは、各行の縦軸の オフセット目盛りの-200を、各加速度の値が0、上方向を負、下方向を正とする相対表示である。横軸は、各行に共通の時間軸tである。最上段からLAT行には、A(LAT,t)とA(LON,t)、LON行には、A(LON,t)とA(DEP,t)、DEP行には、A(DEP,t)とA(LAT,t)、INT行には、A(INT,t)とA(DEP,t)、最下段のMAG行には、A(MAG,t)とA(INT,t)とA(DEP,t)とを重ねて表示している。従って、MAG行に表示した加速度間の位相振幅の関係は、CQK予兆となっている。その予兆を、INT行からMAG行にわたり下向き2重線矢印と共にCQKと表記した。 断層幅Wの予測予兆CQK上のDEP行のD(DEP,t)には、今にも発生しそうな大地震の断層幅Wの予測値を、両方向の矢印と予測値のW = 20 kmとで記している。詳細は省略するが、予測断層幅Wは、W =ΔD(DEP,t)=D(DEP,tmax)-D(DEP,tmin)となっている。このtmaxとtminの値は、D(MAG,t)の最大値を与える時刻tmax=528と最小値を与える時刻tmin=548である。従って、数式(3)を用いて、今にも発生しそうな大地震のマグニチュードをM=6.8とする予知が可能となる。 発生時刻の予測今にも発生しそうな図11aの大地震(兵庫県南部地震)の発生 時刻の予知は、CQK予兆における加速度A(INT,t)が負のピークになる時刻mを予測する事である。A(INT,t)の周期は、加速度を得るための差分間隔sを、s=35、としたので、約70イベントとなる。図11aに表示した時刻t=530のCQKの正のピークは、1994年10月24日のt=536の時点で、確実に検出されている。従って、時刻t=530から35イベント後(半周期後)のA(INT,565)が、負のピークになると予測できる。より正確に、D(INT,t)とA(INT,t)の図9dの関係から、A(INT,t)が、負のピークになる時刻tを、35イベント先に進んでいるINT行のD(INT,t)が正の方向に突き出した個所の時刻tと予測できる。図11aのINT 行に表示した下向きの破線矢印が指しているその突き出し個所は、A(INT,t=536)から、19イベント先となる。即ち、最新の 加速度を表示する時刻t=536に対応する変位d(INT,m)を表示する時刻mが、583イベントなので、大地震は、19イベント先のm=602イベントで発生すると予測できる。 先頭に戻る震源の予測今にも発生しそうな図11aの大地震(兵庫県南部地震)の震源の予測は、図10の大地震発生の物理モデルにより、CQK予兆の後半の約半周期間のD(LAT,t)、D(LON,t)、D(DEP,t)の線形部分を時刻t=590(=602−12)まで線形延長して得る。予測震源は、LAT、LON、DEP行に破線矢印で示した。各破線矢印は、予知を実施した1994年10月24のt=571から19イベント先の値を指している。それら値を、LAT行に、(LAT=34.53)、LON行に、(LON=135.18)、DEP行に(DEP=20.8)と表記した。 先頭に戻る兵庫県南部地震の予知情報1994年10月24日(1994/10/24)のイベント時刻のm=583の時点で、今にも発生しそうなCQK予兆の大地震の予知情報をまとめる.、
なお上記(2)のイベント数で表示した時間を、実時間へ変更するには、1994年10月24日頃のマグニチュード3.5以上の地震の発生率が、[図32]のNCI(m,70)から、m=583付近で9.66日毎に1回発生すると仮定できるので、19イベントは、1994年10月24日から183.5日後となる事による。 兵庫県南部地震の予知の検証予知したCQKの大地震の発生に至る状況を把握するために、兵庫県南部地震が発生した1995年1月17日のm=602前後の震源情報をテーブルにする。
上記、予知情報と、テーブルのm=602の兵庫県南部地震の震源情報は、精度良く一致しているが、イベント数の時間から、実時間への変換は、1994年10月24日の時点では悪い。しかし、イベント数の予知時刻に接近すると、実時間への変換精度を上げることができる。 マグニチュードの予知精度に関して、兵庫県南部地震のマグニチュードは、気象庁マグニチュードがM=7.2であったが、その大地震の余震分布から推定された断層形状は、[26]によると断層長は、L=45km、断層幅は、W=20kmで、上記、予測断層幅と一致している。従って、断層の形状に依存する、数式(5)で与えられるマグニチュード(モーメントマグニチュードMw)は、Mw=6.9だったので、そのマグニチュードの予知精度は良い。 予知検証図(図11b)の説明兵庫県南部地震の予知検証を、図11bを用いて行う。そのため、図11bは、図11aの対象とした期間を、1991年1月7日(m=440)から、1995年1月17日(m=640)まで拡張した。従って、図11aに示した予知情報に、兵庫県南部地震の発生が、図11bに加わる。この拡張した期間に、加わったグラフ表示機能は、次の機能である。最下段のMAGのd(MAG,m)の細線グラフは、MAGの値が6以上になると、その直前の値から太線に変換されて連結される。M7.2の兵庫県南部地震は、m=602(実時間で1995年1月17日)で、発生した。従って、その大地震発生直前のm=601(実時間で1995年1月16日)の値d(MAG,601)=3.7からd(MAG,602)=7.2まで、太い線グラフとなる。その太線には、横矢印で、1995/1/17 M7.2と兵庫県南部地震の発生日とマグニチュードを表示した。又、各震源要素cのc行の変位グラフもd(c,601)−d(c,602)が細線から太線表示となる。ただし、大地震発生直前(m=601)のM3.7地震は前震で、その震源は、本震の大地震と略同じであったので、d(MAG,m)の様にM3.7からM7.2へと大きな数値の変化がないので、グラフの細線は、それらの個所で、太線でなく太い点表示になっている。更に、各震源要素cのc行の加速度A(c,t)も、t= m-w-sの関係から、A(c,554)-A(c,555)の細線グラフが太い点となる。 従って、兵庫県南部地震の予知結果は、図11bからも正確であった事が、検証される。予知の定義における、予知精度も、満足している。公開した大地震の予知と検証次に、文献[9, 23]に予知結果のみ公開した中国・四国・近畿地方の大地震の予知の実施例を、述べる。この公開した予知結果は、京都府の亀岡市付近を震源地としたCQKタイプの大地震であったが、断層幅wの予測を除き、誤りだった。その誤報の要因は、CQK予兆が、不完全な反転を持つ加速度A(DEP,t)とA(INT,t)であったにも関わらず、完全な反転をもつCQK予兆とした事による。このCQK予兆の誤認に起因する誤った予知と、その正しい予知とその検証を述べる。なお正しい予知結果は、公開していない。 中国・四国・近畿地方に既に発生していた大地震を取り上げ、大地震が発生する前までの気象庁震源データを用いてそれら大地震の予知が可能であった事を検証してきた。次に、この領域にまだ発生していない大地震の予知を実施していたので、その実施例を述べる。2010年8月8日の時点で、CQK予兆の大地震を予知した結果の概要は、文献[9]に公開した。 CQK予兆の誤解析(亀岡市付近に予知した大地震)公開した予知情報は、京都府の亀岡市付近を震源地としたCQKタイプの大地震であった。このCQK予兆は、加速度A(DEP,t)とA(INT,t)とが、完全な逆位相とならない波形の反転であった。しかし文献[9, 23]の公開情報は、CQK予兆のA(DEP,t)とA(INT,t)とが完全な逆位相として解析した予知 結果であり、誤った予知を公開した。先ず、このCQK予兆を誤認識した解析結果を、兵庫県南部地震の実施例の図11aと同様に、図15aに示す。予知を実施したのは、2010年8月8日であるが、この地域に発生した最後の地震は、2010年8月4日のM=3.9地震なので、その日時に相当する 時刻m=1660が、予知を実施した時刻となる。 予知した震源を、LAT行、LON行、DEP行に、D(LAT,t)、D(LON,t)、D(DEP,t)を線形補間した破線矢印で表示した。それらの数値は、LAT=35.1、LON=135.5、DEP=19kmである。又、予測した断層幅Wを定めた、D(DEP,t)の範囲と、ΔD(DEP,t)の値は、DEP行のt=1620付近に両方向の矢印とW=6.2kmと表示した。予知したマグニチュードは、[数56]から、M=5.8となる。大地震発生の時刻は、下向き破線矢印で、INT行のD(INT,t)上にある下方のくぼみ個所が、A(INT,t)の半周期後のピークをとる時刻となり、t=1613から11イベント後の、t=1624となる。時刻mを用いると三重線の下向き 矢印と大地震のラベルで示したm=1671の個所となる。図15dのNCI(m,70)から平均的に7日に1回の割合でM3.5以上の地震が発生している 事が、判明する。実時間に変換すると、8月4日から77日後となる。しかし、その予知したM5.8の大地震は、時刻m=1671付近で、発生しなかった。 CQK予兆の正しい解析(和歌山県中部に予知した大地震)2011年2月28日に実施した正しい大地震の予知結果を、図15bに示す。実施期間は、2006年11月26日(m=1480)から2011年2月28日(m=1684)までである。図15aと図15bで観測されたCQK予兆のA(DEP,t)とA(INT,t)の反転は、図15aと図15bのINT行のA(DEP,t)のピークが、二重破線の下向き矢印で示された時刻t=1570付近にあり、逆方向のA(INT,t)のピークが、CQKと二重線の下向き矢印で示されたt=1605付近にある。ただ、A(DEP,t)の周期が長くなっているので、そのピーク付近の振幅値は、時刻t=1590付近まで略同じ値を保っている。そのA(DEP,t)とA(INT,t)の振幅の反転は、兵庫県南部地震のCQKの逆位相となった反転と異なる。そのA(DEP,t)とA(INT,t)とA(MAG,t)のCQKの振幅位相関係は、MAG行にも示されている。この様なCQK予兆の大地震の発生時刻は、DEP行、もしくはINT行に二重破線の矢印の個所のA(DEP,t)のピークが、半周期後に反転したピークの時刻でなく、[背景技術]で説明した様に破線矢印で示された時刻付近で1周期後のピークで発生する。そのA(DEP,t)が1周期後にピークを取ると予測される時刻は、差分間隔を取った時間だけ進んだDEP行のD(DEP,t)が、下方に(深い方向に)ピークを取った破線矢印の起点個所となる。その予測時刻は、現時刻m=1684から24イベント後のm=1708となる。予兆に対応する震源予測値は、LAT、LON、DEP行に破線矢印で示された(LAT=33.8度、LON=135.6度、DEP=6 km)で。震源地は、和歌山県中部となる。2011年2月28日のイベント時刻のm=1684の時点で、今にも発生しそうなCQK予兆の大地震の予知情報は
和歌山県中部に発生したCQK大地震の予知検証上記予知結果を検証するために、先ず、予知したCQKの大地震の発生状況を把握する。2011年2月28日のm=1684から24イベント後の予知した時刻のm=1708前後の震源情報をテーブルにする。
従って、その予知地震は、和歌山県で2011年7月5日に発生した震源の深さが、7.3km、マグニチュードが5.5の地震であった事が判明し、時刻のイベント数予知、震源とマグニチュードの予知は、正確であった。イベント数の時間から、実時間への変換は、2011年2月28日の時点では悪いが、予知時刻に接近すると、精度を上げることができる。 臨界サイクル (図15e)の説明中国・四国・近畿地方の地殻の歪エネルギー密度のサイクルにおける、時刻m=1708の和歌山県のM5.5地震に関連した臨界(AMR)現象の抽出の箇所は、上向き破線矢印で示してある。図15eは、図4と同様なサイクル図であるが、地震のマグニチュードMAGが、5以上になると、矢印として表示される。又、2011のM5.5和歌山県中部地震のAMR現象は、1995のM7.2兵庫県南部地震、1997のM6.6山口県東部地震、2000のM7.2鳥取県西部地震と比較すると、その歪エネルギー密度の減少の程度は、少ない。 まとめ中・四国・近畿の兵庫県南部地震の予知実験から、その大地震の予知は、発生の3カ月程前から、予知できていた事が判明している。 図15aと図15bで観測されたCQK予兆のA(DEP,t)とA(INT,t)の振幅の反転は、兵庫県南部地震のCQKと異なる。兵庫県南部地震で観測されたA(DEP,t)とA(INT,t)とA(MAG,t)の振幅位相関係を理想的な完全なCQK予兆であるとすると、図15aと図15bで観測されたCQK予兆は、完全ではない。 この様なCQK予兆の大地震の発生時刻は、DEP行、もしくはINT行に二重破線の矢印の個所のA(DEP,t)のピークが、半周期後に反転したピークの時刻でなく、破線矢印で示された時刻付近の1周期後のピークで発生する。 先頭に戻る参考文献武田文秀、中・四国・近畿地方の大地震の予兆解析:震源、発生時刻、Mの予報、日本地震学会講演予稿集、2010年度秋季大会、B22-06、p. 61, (2010) |
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